引き出しの整理をしていたら、
30年くらい前に植木等さんにもらった、奇跡のサイン入りのTシャツが出てきた。
懐かしいので、
その、植木等さんにサインをもらったときの話。
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学生のときに観に行った、植木等さんと大地真央さんのミュージカル舞台。
終演後、
植木さんに直接お会いしたくて(当時「植木等とクレージーキャッツ」にとてもハマっていた)、
裏口で出待ちをしていた。
サインが欲しかったけれど何も持っていなかったので、
たまたま目の前を通りかかったスタッフの人に、
マジックを借してください、と声をかけてみた。
するとなぜか、その裏口から、建物内に通された。
そこらへんのマジック適当に使ってください、と言って、スタッフの人はそのままどこかへ行ってしまった。
わたしはたぶん、裏方スタッフと間違われたのだ。
チャンス。ここは…楽屋に続いているぞ。
と、そのままどんどん進んで、植木等さんの個室をみつけた。
わたしは息を吸い込んで、そのドアをノックした(恐い物知らずの18才だった)。
(向かい側には大地真央さんの暖簾)
部屋には植木等さんご本人がいらっしゃって、神々しくておののく。
いきなり楽屋に押しかけたみすぼらしい格好の、知らない若者のわたしに、
お付きの人は、どなたですか、と、不審顏。
ファンです、サインください、
と正直に言うと、
アポなしでそういうのはちょっと、と、そのお付きの人に制された。
それをみていた植木等さんご本人が、
「まあいいじゃないか」
と言ってくださって、
なんと、サインをもらえることになった。
押しかけてみてよかった!!
とはいえ、わたしは色紙やスケッチブックなどいっさい持っていなくて、
先ほど借りたマジック一本だけを握りしめている状態(完全なる見切り発車)。
植木さんも、何に書けば?という具合に戸惑っていらっしゃった。
結局、その日着ていた古いTシャツしか選択肢がなくて、
そのヨレヨレのTシャツをピーンと広げて、
貴重なサインを書いてもらったのでした。
さらに、やさしい励ましの声までかけていただいて。
レコードで聴いたり、テレビで観たりするご本人はほにゃらかな雰囲気だけれども、
実際にお会いすると、とても大物感漂う、凛とした方だった。
とてもかっこよかった。
無茶したけど、無茶したかいがあった、1991年の、奇跡のサイン。
貴重。。