2015年3月10日火曜日

21才、NY


photo by/菅原光博さん(ミッチー)

 21才の頃。


 その頃のわたしは、ジャズスタンダード曲をときどき銀座や上野のジャズクラブで歌わせてもらっていて、

 本場のニューヨークでいろいろライブをみてみたいな、

 と思いたち、

 けれどもそんなお金はなかったので友人に10万円を借りて(その頃のわたしに貯金という概念はない)、
 
 無謀にもひとりでニューヨークに行った。

 
 その頃わたしをとってもよくかわいがってくれていた劇団未来劇場の看板女優、水森亜土さんが、NYに部屋を持っている"写真家のミッチー"を紹介してくれて(おまけに旅のお餞別まで包んでくれた)、ミッチーのウエストビレッジのアパートに2週間ほど居候させてもらった。


 毎晩あちこちのジャズクラブで素晴らしい演奏が繰り広げられていて、

 当時5ドルくらいで1ステージみれたので、お店をはしごして、一晩にいろんなライブが体験できた。

  
 居候先のミッチーがアフリカ好きだった(後に知ったことだれど、その"ミッチー"はボブ・マーリィの日本公演も撮ったことのある実力派の写真家だった)ので、

 アフリカン・フェテにも何度か参加してその熱気に触れ(そこでカサンドラ・ウィルソンをはじめてみて感動した)、


 ハーレムの小さなお店で、すごいうまい黒人女性の小さなライブをみたり、

 アポロシアターの響きも堪能した。 
 

 とはいえ、NYにいるそのときや、日本に帰ってからしばらくは、なにか自分の栄養になったかなあ、とわからずにいたけれども、


 その日々は今でもかけがえなくわたしの心にキラキラとあり、

 直接ではなくても、その後のわたしの音楽活動に絶対的な要素として輝きを放っている。


 先は見えなくても、お金がなくっても、

 若者は旅をした方がいい、と振り返ってみて改めておもう(若者じゃなくっても、思い立てばすぐにでも!)。



 ちなみにそのときのミラクルのはなし。

 その友人に10万円を借りて行ったNY旅の帰りの飛行機で、

 通路をはさんで斜め後ろに座った日本人男性(おそらく40代)と、長旅のなかでいろいろおしゃべりし、わたしが歌を歌っているということが分かると、

 その男性は、応援したい、と言ってくれ、

 帰国後、なんと10万円をわたしの口座に振り込んでくれた。

 なんの見返りもなしに!


 彼は特にお金持ち、というのでもなく、普通のサラリーマンで妻子もあり(後日、奥さんとお子さんも一緒にごはんを食べた)、

 本当に善意で自分のポケットマネーを、わたしに投資してくれたのだ。


 なんの名もない、しかもわたしの歌声も聞いたことがないのに、飛行機で席が近かったというご縁だけで!!


 これぞミラクル。


 
 このように、なにはなくとも飛び出してしまえば、

 なにかしらの天の助けがあるようだ


 と、思った21才の夏、のはなし。


 

2015年3月6日金曜日

ギタレレとお母さんコーラス


 
 息子は6年生なので、もうすぐ卒業。

 今日は学校の「卒業を祝う会」

 という催しだった。

 
 6年生と、先生方と、保護者が体育館に集まり、

 歌や合奏をそれぞれ披露する。


 わたしは、

 "音楽をやっている"

 というだけの理由で

 お母さんたちのコーラスの指揮者に抜擢され、


 それとこれとはぜんぜん違うのですよ、

 わたしはそういうのには全然向いてないんです、


 と断ったのだけれども、

 他に候補者がいないということで、

 まあそれならば、と引き受けて、

 は、みたけれども


 やはりどう考えても、手を広げ指揮をしてお母さん方を率いるキャラではまったくなく、

 数日前の練習のときに、ピアノ担当のお母さんがぐいぐい仕切ってくれたので、

 その場で、

 みなさん指揮はいりませんよね?

 ピアノ演奏に気持ち良くのっかって歌ってくださいね、

 わたしはギターを添えますのでよろしく♡

 と、なかば強引に指揮者不在の流れをつくった。

 
 そして本番。


 なんと、ピアノ担当のお母さんが突然、子供さんの発熱で欠席。


 残されたわたくしが、

 小さなギタレレひとつで、

 お母さんコーラスの伴奏をすることになってしまった。


 わたしの小さなギタレレのつたない演奏で、

 お母さんたち60〜70人くらいが歌う


 たぶん相当珍しい(というか他にはない)パターンだったとおもう


 いやあ 貴重な体験だった

 急な展開でハラハラだったけれども

 楽しかったな

 (あとで何人かのお母さんがよかったねと声をかけてくれたので、まあまあセーフだったのだろう)


 ありがとう!



 卒業まで、あと少し。


 大切に過ごそう。


 
 

2015年3月4日水曜日

佐野さんライブ@スタパ


 
 佐野史郎さんの誕生日ライブ@スターパインズカフェに行ってきました。


 キセルと漣くんも出演していて、佐野さんバンド(グレイス姉さんとエマーソンさんと、ベースが友晴くん)もかっこよくて、楽しかった。見応えあったなあ。

 ライブ後、スタパでしばらくみなさんと飲んで、
 (スタパのスタッフの方々いつも親切に接してくださりありがとうです)

 その後は、これまでならハバナに流れるところなのだけれど、

 ハバナはなくなっちゃったので、

 ハバナがなくなって困るねえ、などと言いながら佐野さんとキセル兄と3人で路地を歩いてちょうど良いお店を探し、

 3人で2時半頃まで飲んだ。

 いろいろ話が聞けて楽しかったな。

 佐野さんはほんとにほんとに音楽が大好きなんだなあ、その心はずっと音楽好き少年、ロック少年、のままなのだろうな、と、話すたび思う。

 
 タクシーで帰る佐野さんを見送り(お疲れさまです&還暦おめでとうございました!いつも気さくに付き合ってくださりありがとうございます)、

 わたしとキセル兄はそれぞれ自転車を押して歩きながら、

 もう一杯だけ飲もう、と、通りがかりの手近なお店に流れた。

 
 お互いちびちび飲みながら話す。


 わたしはキセルの曲が大好きなので、

 どういうふうにつくっているのか、とかなり本気でインタビューしたりして。


 結局、気付くと朝だった。


 朝帰りの空って

 きれいなんだよなあ


 ハバナがなくなっても、またやっちゃってるなあ